2004年 日本 119分
怪奇な物語のオムニバス。 ★★★
乙一の同名短編集を映画化したオムニバス作品。
斬新な発想が持ち味の彼だが、なかでもこの短編集が一番好いのではないだろうか。
イヤミスにも似た読後感はあるのだが、ということで鑑賞。
第1話 「カザリとヨーコ」(監督:金田龍)。
母(松田美由紀)に一人は可愛がられ、一人は虐待される一卵性双生児のカザリとヨーコ(小林涼子)。
ある日、二人は1日だけ入れ替わることにするのだが、母はヨーコだと思ってカザリを殺してしまう。
お母様、私はいつも苛められていたヨーコだよ。捻りがいい。
第2話「SEVEN ROOMS」(監督:安達正軌)。
突然、理由も分からずに小さな部屋に閉じ込められた少年(須賀健太)と姉(市川由衣)。
部屋の片隅を下水が流れていき、毎日パンひときれだけが与えられる。
同じような7つの部屋に女性が一人ずつ閉じ込められていて、夕方、順に一人殺されては、またあらたに一人誘拐されてきているようだ。何とかして逃げ出さなくては・・・。
姉弟がとった究極の選択は、とても切ない。
集中で一番印象的な作品だった。これだけなら★★★☆。
第3話「陽だまりの詩」(アニメ・監督:水崎順平)。
田園地帯に住む科学者によって作られたアンドロイドの少女。
実は世界でたった一人の生き残りだった科学者は、自分は間もなく死ぬ、と少女に言う。
SFファンタジーで美しく、後半にあっというネタが秘められていた。
第4話「SO-far そ・ふぁー」(監督:小宮雅哲)。
交通事故で死んでしまった父母(杉本哲太、鈴木杏樹)が少年の前にあらわれる。
父母はお互いに相手が見えないようで、少年は二人の間で気持ちが捩れ始める。
主役の小学生が上手いなあと思って観ていたのだが、なんと15年目前、11歳の神木隆之介だった。すごい。
この物語も最後に、えっ、そうだったのか!となる。さすが乙一。
第5話「ZOO」(監督:安藤尋)。
廃園となった動物園で発作的に女性(浜崎茜)を殺した男は、毎日彼女の死体写真を撮り続ける。
それほど捻りもなく、一番平凡だった。
1話が25分程度のオムニバスなので、あまり身構えずに観ることはできる。
しかし、それぞれにかなり重い内容ではあった(特に1話、2話)。
3話の神木君も好いですよ。